地球にやさしいカイロであったか!

「ハクキンカイロ」というものをご存知ですか?

漢字で書くと「白金懐炉」と書きます。

その名の通り、暖をとるカイロのことです。

   

節電が叫ばれ、環境への意識も高くなっている昨今、

燃料のベンジンを入れれば何度でも使えることで

見直されているのが環境にやさしいこのカイロなんです。

   

満タン25ccのベンジンで、なんと約24時間も使用可能。

その熱量は、使い捨てカイロの実に13倍と桁違い。

寒冷地でも発熱温度を安定的に保つから、アウトドアに最適。

   

さらに、使用中は微量の水蒸気と炭酸ガスしか出さないから、

地球環境にやさしいカイロなんです。

今回はこのハクキンカイロをご紹介したいと思います。

   

   

   

このパッケージはご覧になったこと、ありますか?

「ハクキンおじさん」というキャラクターが描かれた

このパッケージで現在販売しています。

     

70年代に使い捨てカイロが普及する以前は、

ごく一般的な商品で、どの家庭にもあったとか。

70年代生まれの私は、就職するまで知りませんでした。

   

開発されたのはなんと約90年前。以来、基本構造は

変わることなく、その優れた性能から、戦時中の軍隊や

南極観測隊の携行品として使用されたほどだそうです。

   

カイロ本体はこんなデザイン。ちなみに生産しているのは

ハクキンカイロ株式会社さん。ブランド名は「ピーコック(孔雀)」。

本体にある通気・放熱穴がクジャクのデザインなんですね。

   

このデザインは、生産された時代により穴の数などが違います。

空気を取り込むため、熱や水蒸気を放出する為に

考え尽くされたデザインだそうです。

    

クジャクの部分はフタになっていて外れます。

中に見えるのは、「火口」です。このカイロの重要部品ですね。

 科学の知識と日本のものづくり技術の賜物です。

    

火口の中で、綿毛のように見える部分がガラス繊維で、

触媒部です。ここにプラチナ(白金)が使われています。

だからハクキンカイロという名前なんですね。

   

プラチナを触媒としてベンジンを酸化燃焼させ発熱させます。

比較的低い130~350℃で安定的に発熱します。

反応後は、水(水蒸気)と炭酸ガス(二酸化炭素)しか出ません。

   

あくまで、酸化熱を利用してカイロの熱とするので、

火が燃えているわけではありません。

豆炭を入れるアンカなどとはそこが違うわけですね。   

     

では、前置きはこれくらいにして、実際に使ってみましょう。

   

   

ハクキンカイロを購入すると、本体とベンジン注油カップ(ピンク)と

袋が付いています。あとは、燃料の純正ベンジン、さらに

点火用のライターかマッチを用意します。

   

ベンジンは、ハクキンカイロ社の純正品がオススメです。

メーカーさんによれば、ベンジンの精錬度によってカイロの

性能が左右されるとのこと。

   

ただ、一般的なカイロ用ベンジンでも、使うことは出来ます。非常時は

ホワイトガソリンやジッポーオイルで代用する方もいるようです。

衣類のシミ抜きベンジンは添加物がある場合があるのでダメです。

    

ベンジンを給油する時、カイロ本体を保持する為に

商品が入っていた箱をくりぬいてスタンド代わりにしてみました。

 

まず、火口を外します。綿毛のようなガラス繊維の触媒部は

デリケートな部分なので触らないようにしましょう。

ここにススが付くと点火不良になり、部品交換が必要になります。

 

火口を外すと、中には脱脂綿が見えます。このへんは、

ジッポーライターと同じような感じですね。

脱脂綿がベンジンを保持します。

   

火口を外した部分に、注油カップを画像のように挿入します。

カップの下部(濃いピンクの部分)は回りますが、

この位置にしておくと、カップ内にベンジンが溜まります。

     

カップにベンジンを注油します。カップには目盛りが付いていて

下の目盛りで6cc(約5時間分)、上の目盛りで12.5cc(約12時間分)。

カイロ本体には、最大でカップ約2杯分(約24時間分)が入ります。

    

注油カップにベンジンを注いだら・・・

   

うすいピンクのカップ部をグリッと90度ひねります。

すると、スゥーっとベンジンが本体内に入っていきます。

   

これを2回繰り返すと満タンになります。

2カップ分注いだあとは、下に注油カップを置いて、

カイロ本体を逆さまに持ち、ぐっと本体を押します。

   

すると、内部の脱脂綿が吸収し切れなかった、

あまりのベンジンが出てきます。この作業は必ず行いましょう。

(写真を撮り忘れましたが・・・)   

 

もし、容器内部に前回のベンジンが残っていたとしたら、

2カップ注ぐと容量オーバーになりベンジンがこぼれます。

それを避ける為に必要な作業です。

   

ベンジンがこぼれないことを確認したら火口を戻します。

では、いよいよ点火です。

   

点火とは言っても、火が熾きるわけではありません。

酸化反応を開始させるために必要な温度(約130℃)を

 ライターの火で与えてあげるわけです。

   

ライターの火は800℃~1200℃程度あるので、

火が触媒部に直接触れる必要はありません。

触媒部に3~5秒ほど火を近づければ、酸化は始まります。

   

注意点として、カイロ本体を逆さまにして、火口の触媒部に

火を近づけないで下さい。これだと、まさに火を点けるイメージですね。

前述の通り、火をつけるわけではないのでやらないで下さい。

  

触媒部にススがついて、点火不良の原因にもなりますし、

場合によっては漏れたベンジンに引火することもあります。

必ず、火口を上にした状態で、火を近づけて酸化を開始させましょう。

   

点火(酸化が開始)したかどうかは、火口にフタを近づけると分かります。

プラチナの酸化反応により水蒸気が発生しているはず。

冷えているフタに湯気が付いて表面が曇ることで点火を確認出来ます。

   

点火を確認したら、クジャクのフタを元に戻しましょう。

    

あとは、付属の袋に入れましょう。

ネル生地っぽいフリース袋がレトロ感を強調しているし

見た目にも暖かそうでイイカンジです。

   
使い捨てカイロのように急激に温度は上がりませんが、
20~30分もすると袋なしで持っているには熱いほどです。
なんといっても熱量(カロリー)は、使い捨てカイロの13倍!
   
風を通さない上着を着て、胸や腹、腰の部分に仕込んでみてください。
もう体全体がダルマストーブ状態ですよ! 外気温による影響に
左右されず安定した温度を出すので屋外での信頼感バツグン。
 
 
 

 

   

    

どうでしょうか。使ってみたくなりませんか?

お値段はカイロ本体が2500円程度。使い捨てカイロが

1個18円程度だとして140個分。高いか安いかはあなた次第?

    

「使い捨て」 の商品が毎日大量に消費された時代を経て、

継続して使える商品が見直されるようなりました。

   

90年も前に考え出された商品が、今もなお生産されていて、

環境に悪影響を及ぼすことなく暖をとれるということは、

とてもいいことだと思います。

   

気になった方は、どうぞご来店下さい。ジョイフル山新、

山新グランステージの日用品季節品コーナーで扱っております!

ぜひご利用下さい。オススメです!