車のバッテリーの交換 その2

   

タイトルでわかってしまいますが、画像はお車のバッテリーです。

今回は、お車のバッテリー交換を自分でやってみたいという方のために

交換方法をご説明したいと思います。

   

以前にもバッテリー交換は記事にしています(動画付)。

その際はバックアップを取ってバッテリーを交換する方法でした。

今回は、もっとカンタンにバックアップ無しで、そして細かくご説明しましょう。

   

私も車のバッテリー交換は自分でやります。我が家は車が2台ありますが、

通勤用の方は3年程度、家族用の方は2~3年程度で交換しています。

通勤用は距離を走るため、充電されやすい環境なのでサイクルを長くしています。

   

車のバッテリーは充電・放電を繰り返す2次電池です。

充電は、エンジンを動力に動くオルタネーター(発電機・上の写真)が担っています。

日中にそれなりの距離を走る車ならば、充電されやすい環境といえます。

   

半面、夜間にばかり乗る車は、ライトを点け、ガンガン音楽を鳴らしていると

充電量よりも放電量が上回ってしまい、バッテリーが充電されにくくなります。

こういう場合は、交換のサイクルを早めなければなりません。

   

   

学生時代から車は好きなので、交換方法は当時からなんとなく分かっています。

いや、実際やってみると拍子抜けするほどカンタンなんです。私の交換方法は

間違ってはいないのですが、この記事を書くにあたり正しく学ぶことにしました。

   

   

私たち山新では、本社で定期的に、その都度内容を変えて勉強会を開催しています。

メーカー様から講師を招くなどのご協力を得て、正確で深い内容を学べます。

各店からも、知識習得に励もうと、たくさんの社員が集まります。

   

今回は、パナソニック様のご協力で、カーバッテリーの勉強会となりました。

バッテリーの構造から取り付け方法まで学べる! とのことで参加しました。

今回の記事は、この勉強会の風景を交え、バッテリー交換方法をご説明します。

   

まずは座学からです。製造メーカーの方が講師をしてくださいます。

それだけに詳しい! 構造や発電の仕組み、サイズなどについて学びます。

学んだことからポイントをいくつかご説明しましょう。

   

 

1:カーバッテリーの内部には、液体が入っています。これは希硫酸です。

硫酸というだけあって、毒性があります。むやみに傾けたり逆さにすると

希硫酸が漏れ出す場合があります。動かす時はできるだけ水平に。

 

2:バッテリーは現在使っているものと同じ品番で選びましょう。たとえば

55B24L」というバッテリーが付いていた場合、品番の選ぶポイントとしては、

B24L」というバッテリーを選びましょう。

   

品番の意味は以下のとおりです。

「55」…性能ランク(出力の大きさ)を示します。

「B」…短い面の大きさを示します。

「24」…長い面の長さを示します。

「L」…端子の位置を示します。(左がL、右がRを示します。これは

    +端子を自分側に置いて、両端子がどちら側にあるかを示します)。

   

性能ランクは既存と同等か、大きめの数値のものを選べばよいのですが、

「B24L」はバッテリーのトレーサイズと端子位置を示しています。この品番は、

全く同じでないとバッテリートレーに乗らず、固定できなくなってしまいます。

   

では、バッテリーを選んだらさっそくつけてみましょう。

   

   

今回勉強会でバッテリーを交換するのは、総務の女性社員 H田さんの車です。

トヨタのヴィッツですね。どうやらまだ一度もバッテリーは交換していない様子。

勉強会には女性の参加者もたくさんいるのですが、話を聞いてみると…

   

意外やボンネットを開けたことがない方が多かったんです。ということで、

ボンネットを開けるところから書きます。運転席の足元などにボンネットの

オープナーがあります。それを引くと画像のようにボンネットが少し浮きます。

   

空いた隙間に指を入れて探ると、フックを外すつまみがあります。

このつまみを動かすと、フックが外れてボンネットを上げることができます。

この画像だとちょっと見えにくいですね。

   

画像を変えましょう。中央にボンネットにかかるフックと、そのフックを動かす

つまみが見えるでしょうか? ここを指で探ってフックを外すわけです。

   

フックのかかりが外れれば、ボンネットをあげられます。

   

ボンネットをあげた状態で固定するために、エンジンルーム側の

固定棒を立ち上げ、ボンネット裏に取り付けます。

これで、ボンネットはあがって空いた状態で保持されます。

    

どれどれ、バッテリーサイズは…? 実際にバッテリーを見てもいいですし、

取扱説明書やメンテナンスデータから種類を確認していもOKです。

  

それと、バッテリー交換前の確認事項として覚えて頂きたいことがあります。

車の窓が全てしまっている事を確認しましょう」。 

  

これは、以前のバッテリー交換の記事でも触れましたが、

一部のトヨタ車やホンダ車ではバッテリー交換により

メモリーが失われてパワーウインドウが動かなくなることがあるんです。

   

窓が開きっぱなしでウインドウが動かなくなったら悲劇ですから・・・。

最悪でも閉まってさえいれば、施錠はできますから。

この点に関しては、交換手順の最後で追記します。

   

   

じゃぁ、早速交換してみましょう。

   

 

このヴィッツは助手席側にバッテリーがあり、上面には端子が2個。

プラスとマイナスですね。最近の車はよくプラス端子側のケーブルに

赤いカバーが付いています。こっちがプラスですよーと示しているんです。

   

バッテリーを外す場合、プラスとマイナスのどちらをはずすでしょうか?

端子を外す順序は決まっていて、必ずマイナスから外してください

これは、ショートを回避する為です。

   

①マイナス端子側のケーブルを外す。

赤い丸で示しているのがマイナス側です。必ずこちらから外します。

10mmのスパナを使って端子にケーブルを固定しているナットを緩めます。

 

 写真は我が車相手に、初のバッテリー交換に挑むH田さんです。

H田さんは軍手をしています。なんでもそうですが、機械相手の作業などは

手の保護や絶縁を兼ねて何らかの手袋類を使用した方が良いと思います。

   

端子からケーブルが外れたところで、メーカー様からプチ情報が。

ショート防止の為、外したケーブルを予備の軍手やウェスなどで

くるんでしまえば安心です、との事。そうですね。私もやります、これ。

   

作業中に外したケーブルがあちこち動いて、エンジンルーム内の

金属面に触れて、火花が飛んだ経験があります。バッテリーの近くで

飛ぶ火花は、水素爆発の原因にもなりかねないので注意したいところです。

   

②プラス端子側のケーブルを外す。

かぶせてある赤いカバーを上にあげて、ナットを緩め、ケーブルを外します。

ここでも、外したケーブルに軍手を巻きつけ絶縁します。

   

プラス側を緩めるとき、スパナがマイナス側やボディの金属面に接触しないよう

注意してください。ショートしてしまう場合があります。ビビリの私はショートがイヤで、

ビニールテープでぐるぐる巻きにして絶縁した10mmスパナを交換専用にしています。

   

はい、これでプラス・マイナスいずれも外れました。

どっちのケーブルも軍手で巻いて絶縁している状態です。

端子部が外れたら、今度はバッテリー本体を外します。

   

③バッテリー本体の固定具を取り外す。

ナットが付いたフックと平らなバーで固定されていることが多いです。

ナットを緩めると下側のフックが外れて平らなバーも外れます。

   

ちょっと見づらいですが、握っている棒のフック部分が見えますか?

コレが、車体側の穴などに引っ掛けてあり、ナットで締めて固定しているんです。

   

バッテリーの固定金具はこんな形なんですね。

再度固定するときの為に、フックが引っかかっていた穴などを

確認しておいた方が、戻すときにラクです。

   

④既存のバッテリーを取り出す。

これで古いバッテリーともお別れです。あれ?・・・人が変わってる?

このバッテリーは重量が約12kg程度あります。さすがに女性には重い。

   

ということで、外す段階で男性社員に交代。バッテリーを外す際、不意に落として

キズが付いたりしないように毛布やマットで養生してあげると安心です。

プロの整備の方なんかは、よく専用のマットを掛けて作業してますよね。

   

バッテリーが取り除かれた部分はこんな感じです。

四角い部分がバッテリーを置く「トレー」です。このバッテリートレーと

サイズが合わないとバッテリーは置けないので、同じサイズを選ぶわけですね。

   

一般的に3年程度でバッテリーを交換する方が多いようですから、

トレーを目にするのも3年に一度程度。この際ですから、トレー部分を

お掃除してあげましょう。

   

   

⑤新しいバッテリーをトレーに乗せる。

では、古いものと同等品の新しいバッテリーの取付方法です。基本的に外した順序を

逆にたどっていけばいいんです。重いですから、ギックリ腰にはご注意を!!

   

⑥バッテリー固定金具を取り付けてバッテリーを固定する。

外した流れを逆にたどるので、まずバッテリー本体を固定します。

引っ掛ける穴にちゃんとフックを引っ掛けましょう。

   

⑦プラス端子側のケーブルを接続する。

この作業中も、スパナがマイナス側に接触しないように注意しましょう。

なんかまた作業する人が変わったような・・・。しかも素手・・・。まぁ大丈夫です!

   

ケーブルについているプラス側を示す赤いカバーを元に戻すことも

忘れないでください。

   

⑧マイナス端子側のケーブルを接続する。

しっかりスパナで締めるのですが、締めすぎもよくありません。

緩んでしまわなければOKなので、無理やりには力を加えないようにしましょう。

   

ケーブルの外し・つなぎの順序を覚えておくと間違いないですね。

マイナス→プラス→プラス→マイナスの順番ですよ。

   

エンジンルーム内での作業はコレで終わりです。各所の締め忘れが無いか、

バッテリーはしっかり固定されているかを確認したらボンネットを閉めます。

   

   

⑨電装系やパワーウインドウのチェックをする。

車の装備として時計などが付いている場合、一度バッテリーが外された事で

リセット状態になっている事があるので、再調整します。

これが、バックアップ無しでバッテリー交換するときの特徴ですね。

   

じゃぁ、ナビも過去データが消えちゃってる?いやいや、まず大丈夫です。

ナビにはたいてい利用履歴やお気に入り登録がありますよね。

そのメモリが無くなっては大変なので、ナビ自体が補助電池を持っています。

  

ナビのメーカー様は、バッテリーがあがることも想定していますから。 

ある程度の時間であればバッテリーが無い状態でもメモリは保持されます。

機器によるので具体的な時間は不明ですが、少なくとも数時間は大丈夫でしょう。

  

さて、冒頭でも書いたパワーウインドウですが、動かしてみてください。

動けばラッキー。動かない場合はリセット方法が車ごとにあります。

多いのは、パワーウインドウのスイッチを長押し・長引きするという方法。

   

ウインドウを下げる方にスイッチを1~2秒押して、次に上げる方に

スイッチを1~2秒引きあげるというやり方ですね。

詳しくは、お車ごとの取扱説明書をご確認下さい。

   

これらを回避する為に、お店ではメモリーをバックアップする器具を

カー用品として扱っていますので、それをご利用頂いても結構です。

(これ以前の記事「車のバッテリーの交換」をご覧下さい。)

 

   

   

最後に、最近のお車についてちょっと書かせていただきます。

このマーク、ご覧になったことのある方は多いでしょう。

このステッカーが付いている車にお乗りの方は、ある程度グレードの高い

低排出ガス車対応とされているバッテリーをご利用下さい。

   

これらのマークの付いた車では、燃費や排ガスを抑えるために、

オルタネーターでの発電量を抑えています。つまり、バッテリーが

充電されにくい車だということです。

   

充電速度の速い高グレードのバッテリーで無い場合、いつも充電が

不十分な状態になっていまうんです。使えないわけではないのですが、

低グレードのバッテリーだと、バッテリーあがりといつも隣り合わせになります。

  

ちなみに、ハイブリッド車やアイドリングストップ車は、従来とはまた違った

機能性が求められる為、従来のバッテリーは対応しておりません。

交換に関しては、各メーカーのディーラー様にご相談下さい。

   

    

   

さて、カンタンといいながらも長い文章になってしまいました。

この記事を読んで、交換してみようという気になった方、

ぜひ店頭で私たちにご相談下さい。

   

できれば、車検証をお店まで持ってきていただけると、

バッテリーの選定などしやすくなるので助かります。

皆さんの「やってみようの気持ち」を、私たちは応援します!!